その声の主は、テルさん……。
テルさん、とは。
柳迅会の陰のドンと呼ばれるくらい、存在感があり、組員たちからも一目置かれた人間。流川輝之(ルカワ テルユキ)
お父さんの右腕と呼ばれるポジションにいる人間だけど、かなり頭がキレ、あらゆる仕事を幅広くこなす。
こうやって、下っ端ですらないあたし達の監視もするくらい。
あたしが本物のお嬢様だとしたら……テルさんは執事……?
なんて、口が裂けても言えないけど。
「テルさん、せめて手加減して……」
よっぽど痛かったのか、オーバーに顔を崩して泣きごとを言う颯人。
「そんなヤワな人間、柳迅会には必要ないな」
テルさんは、怖いくらいに冷静沈着で感情をあまり表に出さない人。
そして、遠慮せずに物事をズバズバ言う。



