ドクンッ……!
「お前の匂いがしたんだろうな。すごい剣幕で走って行った」
走ったわんこを追いかけて来たのか、黎の息はかなり切れている。
その数センチ横に視線をずらせば。
昼間お兄ちゃんに殴られた傷あとが生々しく残っていた。
思わず、うつむく。
「顔、あげろよ」
「……」
「わんこが心配すんだろ」
「くぅん……」
黎の言葉に、そうだというようにわんこが鳴く。
「ごめん……なさい」
お兄ちゃんのしたこと。
「黎は悪くもないのに、黎が殴られる筋合いはない」
あたしなんかに関わったから、黎は……。
「ああ、コレ?これで済んでビックリだわ」
ははっ、と、黎が笑う。



