着替えを済ませると、車に乗せられて都会のど真ん中に立つ「帝王ホテル」まで連れていかれた。
ときどき芸能人が結婚式を挙げるような、超高級ホテル。
今日はもちろん記者なんていないけど、きっとどこからか隠し撮りされてるんだろうな……。
6時開始のパーティーまでは、まだ2時間もある。
『本郷家の人間として役に立て』
お兄ちゃんにそう命令されて、渋々うなずいたけど。
「……帰りたい」
目の前には、紙の束。
3ケタにも上る招待客に渡す「式次第」のチェックや準備という作業が、あたしの仕事らしい。
会場の設営はホテルの人がやってくれるとして、こういう雑務は柳迅会の人間がやらなきゃいけないわけで。
なぜか、一番関係のないあたしがやらされている。



