黎はソファに体を沈み込ませ、お兄ちゃんに殴られた左頬に手を当てていた。
な、なんてことを……。
「お、お兄ちゃんやめてよ……」
そんなにここに来たらいけなかった?
あたしがここへ来るのは、黎が殴られるほど悪いことなの?
「来い」
低く放ったお兄ちゃんは、あたしの手を掴むと
「颯人、ここに迎えよこさせろ」
「はい」
颯人にそう命令し、引きずるようにして階段を下りていく。
「……っ……」
踏み外しそうになる足。
下で遊んでいた人たちはお兄ちゃんとあたしが通る道をあけ、一様に頭を下げている。
なんなの……ここは一体……。



