「早く支度しろ。お前が一番時間がかかるんだからな」
パサッ……と、投げられたのは、シルクのワンピース。
また、黒……。
お兄ちゃんはすでに黒いスーツに着替えていて、その姿はとても高校3年生には見えない。
目つきも鋭く、無駄のない端正な顔立ち。
冷静沈着で、どこか人を惹きつけるオーラを持っているお兄ちゃんは、すべてにおいてお父さんによく似ていると、誰からも言われてる。
さすが、柳迅会の跡取り。
反対に、あたしは跳ねっかえりのおてんば娘。
お兄ちゃんは、「甘やかされて育ったわがままな女」なんて言うけど。
これでもあたし、結構色んなこと我慢してるの。
知らないでしょ。
「分かってるよな。今日は特別な日だ。美月もしっかり手伝えよ。あと、本郷家の人間らしく、堂々と落ち着いてーーー」
「はいはいはいわかりましたー。着替えるから出てってー」



