「広い海見て、波の音聞いて。そうすると、何もかもちっぽけに思えて、気が軽くなんだよ」
「黎も……なにか悩みがあるの?」
「ねーっつったらウソになるけど、前に比べれば別にどうってことねえな」
けれど、それは今でも多かれ少なかれあるってことで。
黎のこと、もっと知りたいと思う。
「良かったら……話して……?」
真剣な目で黎を見つめると、黎もあたしに視線を合わせてくれた。
そして煙草の火を消すと、軽く笑みを浮かべた。
「俺もさ、美月んとこに比べたら大したことねえけど、それなりにめんどくせえ所に生まれたんだよ」



