王様と私のただならぬ関係

「泣いてません……っ」
と訴えると、そっと指先で涙を拭ってくれる。

「そうだな、泣いてない」
と言う秀人を上目遣いに見、

「……なに笑ってるんですか」
と恨みがましく明日香は言った。

「いや、笑ってないが?」

 笑ってますっ、と言った瞬間、秀人が自分を抱きしめていた。

「よかった……」
と言う秀人に、

「なな、なにがよかったなんですかっ」
と動揺しながら言うと、

「お前が見ていたとは思わなかったが。
 見られたうえに、なんとも思わないとか言われたら、死のうかと思った」
と言ってくる。

「大丈夫ですよ。
 自分で死ななくても、ちょうど今、私が殺そうかと思ってたところなんで」
と言うと、秀人は、ほんとうに笑った。

 わー。
 笑ってる。

 綺麗……。

 この顔が、間近で見られるの、世界で私だけだといいな、とか、つい思ってしまう。