ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

★ ★ ★

「──っ!」

「なに、この魔力は?」
 
俺は神の守りを強化するために更に魔力を注ぐ。

「ブラッド!」

「お前は何も心配するな! 必ず守るから!」
 
さっきとは比べ物にならないくらいの魔力がこちらに向かって来るのが分かる。

そしてそれは隕石の如く激しく神の守りに降り注がれた。

「ぐうっ!! ここまで強い魔力とはな……」
 
少し甘く見てたな。下手したらこの屋敷近くの森全域を吹き飛ばせるんじゃないか? この辺りに俺の屋敷以外の建物がなくて良かった……。
 
だが、簡単に神の守りを破壊出来ると思ったら大間違いだ!

「うおおおお!!」
 
俺は右目に魔力を注ぐ。その拍子に酷い頭痛に襲われた。

「ブラッド! 髪が……!」
 
魔力を使いすぎた俺の髪色は、金髪から真っ白な白髪へと変わり始めていた。

そのせいで頭には酷い頭痛が走っている。しかし俺はそんなのお構いなしに右目に魔力を注いでく。

「ただ髪が白髪になっただけだから気にするな」

「でも……!」
 
オフィーリアは今にも泣き出しそうな顔で俺を見てくる。そんな彼女に俺は優しく微笑んで見せて上を見上げる。
 
そろそろ魔力も限界が近づいて来ている。

ここまで右目に魔力を注いだのは初めてだが辞めるわけにはいかない! そう思った時だった。
 
神の守りでも受け止める事が出来ない数なのか、屋敷全体を覆っている神の守りにヒビが入っていく感覚を感じた。

「くそ……もう少し保ってくれ!」
 
しかしそんな俺の願いは届かずヒビは全域に広がった。

「ちっ!」
 
俺は上げていた手を下ろしオフィーリアの体を抱き上げる。

「っ!」

「瞬間転移!」
 
最後に残った魔力を使って、俺たちはその場から姿を消し外へと脱出した。

☆ ☆ ☆

「ブラッド……」

「はあ……はあ……!」
 
頭に走る頭痛がさっきよりも酷い……。これが右目に魔力を注ぎ過ぎると起こる代償なのか?
 
俺は頭に手を当てながら立ち上がる。そして目の前の光景を目にして言葉を失った。

「そんな……」
 
目の前の屋敷は跡形も無く消え去っており、それを見た俺はあと一歩、瞬間転移を使うのが遅れていたらと思うと悪寒に襲われた。