ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「魔法で発作を止めたんだ。その効果でしばらく発作は出ないだろうから、そこんところは安心してくれ」

「……分かった」
 
オフィーリアは少し安心したのか軽く息を吐くと視線を下げる。その姿を見た俺は容赦なく問い詰めに出る。

「オフィーリア、一つ聞いてもいいか?」

「……っ。なに?」
 
一瞬肩を上がらせた彼女は恐る恐る俺に目を向けた。

どうやらオフィーリアの中で、これから俺が聞こうとしている事に薄々気づいているようだ。

だったら話しは早い。

「お前さ雫を狙われたことないか?」

「っ!」
 
その質問にオフィーリアは青ざめた表情を浮かべる。そして胸元の雫の結晶体を隠している服の上に指先を置く。

「見たの? これを……」

「ああ、見た」
 
俺は素直に頷いた。
 
ここで否定したところで、オフィーリアが抱えている物を聞き出しにくくなるだけだ。だったら彼女が話しやすいようにした方が良い。

「すぅ……はあ」
 
オフィーリアは息を大きく吸い込み、自分を落ち着かせる様に守護石を掴んだ。

「あなたは……私が狙われているのがこの髪色のせいだと思い込んでいたから、話さなくても良いと思っていたのに……」

「それでも後々気づいていたさ。オフィーリアは何か別の理由で狙われているって」

オフィーリアは服をギュッと掴むと言う。

「その通りよ」
 
俺に全て話すことを決意したのか、オフィーリアは覚悟を持った目でこちらに向き直る。

「話すよ……私について」
 
そんな彼女の目線に合わせるように俺は床に膝を付く。

「私は……この雫は──」

その時だった。
 
オフィーリアが言葉を紡ぎかけた時、嫌な魔力を感じた俺は立ち上がった。

「なんだ?」
 
右目が微かに魔力を感じ取っている。でもこの魔力は……。

「まさか……気づかれた?!」
 
オフィーリアも何か思うところがあったのか窓の外を見る。

「気づかれたって!」
 
まさかと思った俺は右目から眼帯を外し魔力の出処を探る。

そして──

「上か!」

部屋の天井を見上げると遥か空高くに魔力を感じた。

「やっぱり……」
 
微かだがあの男の魔力と似ているところがある。でもあいつでないことは確かだ。

あいつのはもっと禍々しい魔力だったし、今感じる魔力はそこまで禍々しくない。

ただちょっと体に鳥肌が立つくらいの嫌な魔力だ。
 
オフィーリアも魔力を感じ取ったのか、体を震わせるとベッドの上で蹲った。

「オフィーリア……」
 
怖いのだろう。過去に自分を襲った事のある人物で、また自分を狙ってやって来たのだから。
 
俺は震えるオフィーリアの体を優しく抱きしめる。

「ブラッド?」
 
彼女はゆっくりと顔を上げる。その表情は酷く怯えきっていた。そんなオフィーリアに俺は微笑んで言う。

「安心しろオフィーリア。お前は必ず俺が守るから」
 
そう優しく告げ俺は右目を通して魔力を開放する。

「神に与えられし力よ、その力の全てを解き放ち、我らを守りたまえ」
 
詠唱しながら天井に右手を上げ魔法を発動する。

「神の守り(デューシールド)!」
 
屋敷全体を神の守りで覆い守りの大勢に入った時。