ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「宝石……いや雫なのか?」
 
触れてみようと手を伸ばした時、見えない衝撃によって指先は弾き返された。

「いって……これは予想以上の魔力だな」
 
おかげで指先がジンジンと痛む。
 
オフィーリアが道化師から狙われていたのは、これが原因だったりするのか? それともこの魔力を狙って。

「あいつがこんなの見たら死ぬほど欲しがるだろうな」
 
彼女を抱き上げベッドへと寝かせる。

「ここからは俺のやるべき仕事だ」
 
オフィーリアはこのせいで気を失っているんだ。

小さい頃の俺みたいに雫に魔力が収まりきらず暴走し発熱を起こしている。

全身に流れる血が沸騰しているような感覚に襲われ喉が酷く乾く。

充分に寝ることも出来ず、数分寝る度に熱によってうなされ目が覚める。最悪な時は悪い幻覚が自分を襲った。

幸いオフィーリアの熱は俺が経験した時よりも低い方だ。だから気を失う程度で済んでいるが、もう少し見つけるのが遅かったらと思うと……。

俺は彼女に右手をかざし詠唱を始める。

「雫の内に秘められし魔力よ」
 
詠唱と共にオフィーリアの体から青白い光が浮かび上がる。

「その強力な魔力を沈め、彼女に安息をもたらしたまえ」
 
ゆっくりと息を吐き右手に魔力を集中させる。

「彼女の内に秘められし雫よ、その姿を我の前に現したまえ」
 
その言葉と同時に強い魔力の波動が俺の体を押し返す。

「うわっ!?」
 
俺はそのまま後ろへと倒れ込んだ。

「いったい何が?」
 
前に向き直った時、そこにはある一つの雫が浮かび上がっていた。

オフィーリアの瞳と同じ透き通るような真っ青な雫がそこにあった。

「これが……オフィーリアの雫?」

やはりその雫の形は、オフィーリアの胸元に剥き出しになっている物と同じ形をしていた。
 
思わず見惚れてしまってハッとした俺は直ぐに立ち上がり、雫から漏れ出ている魔力を抑えるために詠唱を続ける。