ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

でもレーツェルは迷っている私に的確な助言をくれることが多い。だから試しに聞いてみたという理由もある。

『そうですね。私は離れるべきだと思っています』

「……だよね」

『ですが、もしもの可能性も感じています』

「えっ?」
 
もしもの可能性って?

『彼ならあなたを救ってくれる人かもしれないと、そう思っているのです』

「ブラッドが私を?」

『ええ』
 
彼が私を救ってくれる? レーツェルはそう感じているの?

『あくまでも可能性の一つですが、私にはあの人から特別な何かを感じるのです』

「特別な何か?」

『それはまだ分かりませんが』
 
レーツェルがそう言うということは、ブラッドに何かあることは確実なのだろう。でも彼が本当に私を救ってくれる人なのだろうか?

「でもこのことを話すわけには行かないよ」
 
この件に彼を巻き込むわけには行かない。ミリィの言う通りブラッドには幸せになってほしいから。

それに怖い。自分を知られることが。

『そのことを話すかどうかは、あなたに任せます。ですがきっと彼なら、あなたが欲しがっている言葉を言ってくれると私は思っています』

「レーツェル……」
 
それからレーツェルの声が途切れてしまった。

「私が欲しがっている言葉……」
 
それはいったい?
 
そう思った時、私の体が大きく脈打った。

「うっ! ……まさか」

私は慌てて自分の胸元を抑える。

「こんな……時に!」
 
倒れかける体を必死に支え発作に耐える。

「はあ……はあ……! こんな……ところでは!」
 
ここで倒れるわけには行かなかった。倒れてしまったらブラッドに気づかれてしまう。
 
なんとか意識を保とうと守護石を握りしめて立ち上がる。しかし意識はどんどん遠ざかっていく。

「私は……」

私はまだ――
 
そこで私の意識は途切れてしまい、私の体は背中から後ろへと倒れ込んだ。