ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

うまく囚人用の手錠に似せてあるけど、やっぱりこれは本物じゃなかったか。

さすが俺。

読みが当たってよかった。

「ね、ねえ……どうやったの?」

「それは教えられない。種明かしはしない主義なんでね」

「じゃ、じゃあ怪盗レッドアイがマジックを得意としているのは本当なんだね!」

「マジック以外のも得なことはたくさんある。ここから出れたら他にも見せてあげようか?」

「うんっ!」
 
おっ、さっきとは違う表情に変わってきた。

「とりあえずここから出るか」
 
マナティの手首にはめられている手錠に手をかざし唱える。

「解除(レリーズ)」
 
マナティの手首から外れた手錠が下に落ちる。

「さあ、外に出るぞ」

「なるほど……施錠された部屋から宝石を盗み出す時は、さっきの解除の魔法を使うのね」

「探偵みたいに推理しなくていいから」
 
牢屋の施錠も解き見張りに見つからないように移動していく。

「ねえ、他の人たちは助けないの?」

「それは警察の仕事だ。だから君はここを出たら魔法警察のある人物にこのことを伝えてほしい」

「ある人物って?」

前にオフィーリアに見せた写真を取り出しマナティに渡す。

「この男だ。俺の名前を出せば直ぐに察してくるはずだ」

「……まさか怪盗レッドアイに警察の知り合いが居ただなんて」
 
マナティは写真に写っているレオンハルトを凝視する。

「この人の名前は?」

「レオンハルトだ」

「……分かった」
 
上手く見張りを避けた俺たちは上の階へと続く扉の前まで来た。しかしここに来るまでに疑問に思うことが一つあった。

「俺を地下に閉じ込めておくのにこの見張りの少なさはなんだ?」
 
ここに来るまで地下に居た見張りは俺が確認した限りでも四人だけ。

「罠と言う可能性もあるのか?」
 
だったら何が狙いなんだ? そもそもなぜ俺をここに来るように差し向けたんだ?

「さっきからぶつぶつと何を言ってるの?」

「ちょっと今後の作戦をね」
 
とりあえずこの事件の真相はレギオを捕まえれば全て分かることだ。それはレオンハルトに任せる事にしよう。

「今後の作戦って言ってもあの宝石は盗まなくても」

「いや……あの宝石は予告通り盗まさせてもらう」
 
あのとき確かに感じた嫌な魔力と禍々しい力。魔力の性質は闇魔法に近いだろう。しかしあれは闇魔法以上に邪悪な力だった。