ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「だが虹の花を雫の代わりにするには、一つ必要な物がある」

「必要な物って?」

「魔人族の血だ」
 
その名を聞いて俺は目を見開く。

「魔人族って……」
 
確か何百年も前に人間族に滅ぼされた一族だ。

「その血がないと虹の花は雫にはならない」

「そんな……」
 
どうして魔人族の血が必要なんだ? そんな何百年も前に滅んだ一族の血を探すなんて不可能に近い。

「せっかく希望が見えたのに……それじゃ」
 
「諦めるのはまだ早いぞ」

「……え?」

「ここから遠く離れた西の方に、真夜中の森(ミッターナハトヴァルト)と呼ばれる森がある。その先に行くと、六月の岬(イウニオスケープ)という岬があるんだ」

「真夜中の森? 六月の岬?」
 
ギルは俺に何を言いたいんだ? そんなところに魔人族でも居るのか?

「そこにはある条件を満たすと、ある島が姿を現すんだ」

「ある島?」

「島の名は【ラスール】。魔人族の使徒である竜人族が住んでいる島だ」

「ま、魔人族の使徒?!」
 
何でそんなところに竜人族が住んでいるんだ!? 魔人族の使徒だなんて初めて聞いたぞ!
 
確か九種族たちはエアによってそれぞれ領土を与えられたはずだ。

なのにどうして?

「何でそんなところに竜人族たちが?」

「それは分からない。だが竜人族が本土から離れた島で生活を送っているってことは、何か理由があるはずなんだ」

「理由……」
 
俺は腕を組んで考えが始める。

魔人族は人間族によって滅ぼされた。その戦いに竜人族たちだって参戦したはずだ。しかしそれは歴史として記されていない。

一体どうしてなのか? そして竜人族たちは本土から離れた島に移り住んだ。いったい何のために。

「もしかして待っているのか? 再び魔人族がこの世に現れる事を?」
 
俺の言葉にギルは頷く。