ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「まったく……」
 
深々と息を吐くギルの背中を苦笑しながら見つめる。
 
毎日こんなやり取りが行われているのか? そう思いながら彼の背中に声をかける。

「や、やあギル」
 
ギルは目を細めるとこちらに歩いてくる。

「久しぶりだな。怪盗レッドアイ」

「その呼び方はやめてくれ」

「……まあいい」
 
ギルは白衣を床に投げると俺と向かい合うように座る。

「何が聞きたい? 医療、魔法、それとも歴史か?」

「どれも違うな。俺が聞きたいのは虹の花についてだ」

「虹の花だと?」
 
俺の言葉にギルは表情を歪めた。

「何でまた?」

「大切な人を生かしたいんだ」
 
この図書室に虹の花についての魔法書がないと言うのなら、聞いた本人から詳しく話を聞けばいい。

「なるほど……有名なレッドアイもついに虹の花に手を出すのか」
 
ギルは軽く笑う。

「そう言えばお前には虹の花について詳しく話していなかったな」

「話してくれるのか?」
 
俺の言葉にギルは小さく頷く。
 
正直ただで話してくれる何て思っていなかったけど、これなら直ぐにでも話しが聞けそうだ。

「話しても良いがこれはあくまで僕自身の考察だ。本気で捉えないで欲しい。それに君の大切な人がそれで生かせるかどうかも分からない」

「ああ、分かってる」
 
だが少しでも可能性があるなら、俺はそれに賭けてみたいと思う。

「虹の花は三百年に一度咲く幻の花だ。雫の代わりになるとも言われている。それは過去に虹の花が雫の代わりになったと、研究結果が残っているからだ」

「その研究対象にされた人は生きられたのか?」

「ああ。愛する人と共にな」

「……そうか」
 
だったらその虹の花はオフィーリアの雫の代わりになるはずだ。ちゃんとした研究結果が残っているなら希望はまだある。