ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「私は……あと二年で死ぬの」

「え……」
 
その言葉に俺は目を丸くした。
 
あと二年って……そんなの!?

「私は生まれた時から魔力が少なくて、それを知っていたお母様は私に魔法を使わせようとしなかった」
 
そこで俺はさっきの魔法を思い出す。

「お前! 今まで何回魔法を使って来た?!」
 
俺の言葉に目を瞬かせた彼女は少し考えてから言う。

「さっきのが初めてよ」

「な、んで……大事な事だろ! そんな、自分の命を削るような真似を!」

「でもさっきのは私がやりたかったの」

「だけど……!」

そんなの俺が自分で治癒魔法をかければ治る傷だったんだ。でもオフィーリアは、自分のせいだと言って償いのために魔力を使った。命を削ってまで俺の傷を癒してくれた。

「……オフィーリア。約束する」
 
俺はオフィーリアの小指に自分の小指を絡める。

「必ずお前を守ってみせる。クラウンには絶対に渡さない」

「ブラッド……」
 
彼女は命を削ってまで傷を癒してくれた。それだったら俺もこの命をかけて、オフィーリアを全力で守り抜いてみせる。この右目の魔力を使ったとしても。

「オフィーリア……聞いた話があるんだけど」

「聞いた話?」

「ここから西の方ある山に、命を与えてくれる宝石があるって言うんだ」

「命を与えてくれる宝石……」
 
もしかしたらその宝石なら、オフィーリアを助ける事が出来るかもしれない。彼女の命を繋いでくれるかもしれない。

「だからオフィーリア。全部片付いたらその宝石を探しに行こう。一緒に」

「ブラッド。どうしてあなたはそこまで私のために?」
 
オフィーリアは瞳を揺らしながら俺の顔を見上げる。

「そんなの決まってる」
 
俺は赤くなった顔を見られないようにそっと彼女の耳に囁く。

「お前が大切だからだ」

「っ!」
 
この世界で一番大切な人──一緒に生きて、幸せを手にして、隣で生涯を終えたい人。

こんな俺でもようやくそう思える相手に出会えたんだ。オフィーリアが誰よりも愛しい存在なんだ。

「ブラッド……ありがとう」
 
オフィーリアは俺の背中に腕を回した。それに応えるように俺も彼女の体を抱きしめ返す。
 
必ず守ってみせる。クラウンから──彼女を襲う厄災から。オフィーリアは絶対に死なせない。
 
こんな残酷な運命なんて俺が変えてみせる。どんな犠牲を払ってでも。