ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「私に美味しいものを食べさせてくれたり、自由に街を歩かせてくれたり、私に部屋を与えてくれたり、今まで着たことのない服を着せてくれたり──」

「そんなの……」

与えたってことにはならないだろう。そんなの俺の自己満足にしか過ぎない。
 
どうすればオフィーリアが喜んでくれるのか、何をすれば笑顔になってくれるのか、ただそんなことのためにやっただけで、与えたってことには。

「ううん、ブラッドのおかげで私は楽しかった」

「っ!」
 
彼女は自分の胸に手を当てると言う。

「たとえ短い命だとしても、他の人たちと違う存在だとしても、私はそれでも十分与えられたと思っています」
 
オフィーリアは切なく、そして優しく微笑む。そんな彼女の笑顔を見て胸が締め付けられた。

「でも……」
 
オフィーリアは手をぎゅっと握ると、怯えるようにして俺の胸に額を当てる。

「最近この発作が多くて、近々死んだと思ったら……怖くて怖くて仕方がなかった」

「オフィーリア……」
 
震えている彼女の体をもう一度抱きしめる。

「だから……夜は眠れない事が多くて」

「そうか……」
 
彼女の髪を優しく撫でながら思う。
 
だからオフィーリアはあんなに早く起きていたのか……。そして夜は中々寝付く事が出来なかった。朝を迎えられるかどうか不安だったからだ。

「でもこんなこと……あなたには言えなかった」
 
暖かな風が俺たちの髪をなびかせながら、オフィーリアは俺の服と掴むと言う。