ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「私は今日までオフィーリアには魔法を使わせて来ませんでした。おそらく他の人たちよりも、数年は長く生きられると思います」

「そう、ですか」
 
他の人たちより長く? 数年は生きられる? 私の寿命?
 
訳が分からなくなった私は、手に持っていたコップを床に落としてしまった。

「っ!」
 
その音に気がついたお兄様は、慌てて部屋の扉を開ける。

「オフィーリア……」
 
私の頬から涙は伝っていて、お兄様は何を言ったら良いのか分からないでいた。でもそんなお兄様より分からなかったのは私の方だ。

「お母様……私は死ぬのですか?」
 
泣きじゃくる私の手をお兄様はそっと握る。

「アルバ、オフィーリア。こちらへ」
 
お兄様に手を引かれながら、私たちはお母様の側に寄る。

「オフィーリア。さっきの話を聞いていたのですね?」

「は、い……」
 
お兄様は優しく私の頭を撫でる。

「オフィーリア。あなたに話さねばならない事があります」
 
お母様はそう言うと胸元にある星の涙をそっと撫でた。

「この星の涙は近くあなたの元へ受け継がれます」

「それは……」
 
それはお母様が亡くなった時の話だ。じゃあお母様はもう……。

「私はもう長くは生きられません。元々エアの末裔は短命の一族。長く生きたとしても、三十行くか行かないか」

「どうしてですか?」
 
それではまるで呪いではないかと思った。どうして私たちだけそんな、呪いみたいな事を受け継いでいるの?

「私たちは何百年も前からこの星の涙を守ってきました。この星の涙には膨大な魔力が秘められているのです」

「膨大な魔力?」

「その魔力はこの世界を創る事も、壊す事も可能な魔法を完成させる事が出来ます」
 
その言葉を聞いて私はお兄様の服を強く掴んだ。