ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

「だから大人しく彼女を僕に渡してよ。それでもし気が向いらブラッドさんの事は逃してあげるよ」

「嫌だね。お前の気が向き次第によって、俺は生きて帰れるか分からないんだからな。それにお前らの狙いはオフィーリアの雫だろ?」

「うん、そうだよ」

「だったらオフィーリア自身は要らないはずだ。雫が狙いなら雫だけ抜けばいい」
 
一応、雫を体内から抜き取る事は出来る魔法については知っている。だがそれは禁忌の魔法だ。使ったら独房行きは確実だ。

「確かに僕たちが欲しいのはオフィーリアさんの雫だよ。でもそれと同じくらい彼女も必要なんですよ。オフィーリアさんと雫は特別な存在ですから」

「どう特別なんだ?」
 
俺の後ろに居るオフィーリアは話を聞かれるのが怖いのか一歩下がった。オフィーリアの手が離れかけ、俺はその手を引き戻すように強く握る。

「ブラッド?」

「大丈夫。俺が付いてる」
 
アルファは胸の前で腕を組むと話し始める。

「ブラッドさんは最初から何も知らないみたいだから、僕が最初から話してあげますよ」

「それは有り難いな。でもそんな勝手に話して良いことなのかよ?」

「安心してください。全て話し終わったら、君は何も感じる事なく殺してあげますから」
 
アルファは冷めた目付きで言う。
 
大した自信だなと思った。まだ子供のくせに人を殺す事を何とも思っていない。これがクラウンが作り上げた実験の果てにある人間なのか?

「まずは彼女の血縁関係から話した方が早いですね」

「血縁関係だと?」
 
アルファはニヤリと笑う。その笑顔を見たオフィーリアの体が更に震えを増す。

「オフィーリアさんは、あの【エアの末裔】なんですよ」

「なっ!」
 
エアの末裔って確かエアの血を引くと言われる一族だよな? 

もう何百年も昔に街から姿を消したって聞いていたけど、オフィーリアがまさか――エアの末裔!?