ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

俺の中で湧き上がる感情を抑えつつアルファに問いかける。

「オフィーリアを狙っているのは、やっぱりあいつなのか!」

「あいつとは失礼ですね。あの御方には【クラウン様】と言う、立派な名前があるんですから」

「クラウン──道化師か」

アルファは目を細めると言う。

「それにあなたはもうクラウン様にとって用無しの存在です。今更あの御方に何の用ですか?」
 
アルファの瞳から殺気に似た気配を感じる。しかし俺は怯むことなく言い返す。

「お前には関係のない事だ。今直ぐクラウンの居場所を吐いてくれたら、手加減して帰してやるからよ」

「それ……魔力が完全に切れている状態で言うんですか? 怪盗レッドアイさん」

「えっ……!」

「あなたが居たらオフィーリアさんの回収が難しいので、早く消えて下さい」
 
アルファは俺たちに手をかざし魔法を放つ。

「くっ!」
 
俺は直ぐにオフィーリアを抱き上げて後ろへと下がる。

「へえ流石だね。あれだけ魔力を消費しておいて、まだ動けるんですね」

「いざって時に体は鍛えているんだ。お前こそ早く俺たちを仕留めないとクラウンに叱られるぞ」
 
その言葉に軽く笑うアルファは、何が面白いのか目を細めて笑うと言う。

「安心して下さい。用事があるのはオフィーリアさんですから、あなた何て直ぐに消せます。闇の玉(シャドウボール)」
 
アルファの目の前に数多の闇の玉が生み出され、それは俺たち目掛けて飛んできた。

俺はオフィーリアの手を掴んで森の中へと走り出す。

「あんな魔法を使っておいて、魔力が尽きないのかよ!」

「あの人たちの魔力は底がしれないのよ! だから私なんて置いてブラッドだけでも逃げて!」

「そんなの無理に決まってるだろ! 仮に逃げたとしてもあいつは俺も殺そうとするさ」
 
木と木の間をすり抜けながら、闇の玉に当たらないように上手く逃げる。

「ふふ……どこまで逃げ切れるかな?」
 
アルファは空中浮遊(レビテーション)の魔法を使い宙を浮きながら後を着いて来る。

「空中浮遊まで使えるのかよ?!」
 
厄介な奴があいつのところに居たものだ! 強力な魔法を放っておきながら魔力が切れるようには見えないし、何よりあいつは俺たちで遊んでやがる。

「そろそろ飽きてきたな〜」
 
アルファは先回して俺たちの前に立つ。走る足を止めて俺はオフィーリアの前に立つ。