ヴェルト・マギーア 星の涙 ACT.1

一体、どれほどの時間が流れたのか。そして、自分が今どこにいるのか、まるで検討もつかない。

​「はぁ……」

​俺は静かに息を吐き出す。気温が低いせいで、その息はすぐに白く、はっきりと見えた。

​深く被っていたマントのフードを下げ、後ろを振り返る。一面に広がる草原に、冷たい風が俺の髪をなびかせながら、吹き抜けていく。

​「少し、肌寒いか」

​昇り始めた朝日が、ゆっくりと草原を照らし始める。俺は、その光の源である太陽をじっと見つめた。

​「また、今日が始まるのか……」

​もう何度目の朝だ?

​朝日は、首から下げた翡翠色の宝石に当たり、きらりと反射する。俺は優しくその宝石を握りしめた。

​その翡翠色の光を見つめた瞬間、凍てついていたはずの記憶の扉が、音もなく開いた。

​脳裏に、あの鮮烈な過去が津波のように押し寄せる――彼女と初めて出会った、あの眩しい瞬間。

星の涙を巡って、道化師と死闘を繰り広げた日々。

彼女を守るために手に入れた力。

そして、何よりも抗いがたかった、彼女がこの目の前で失われた瞬間……!

​堪えきれない激しい痛みと共に、俺は思わず頭を抱えた。胸の奥が激しく締め付けられる。

​数秒の後、俺はゆっくりと両腕を下ろし、冷たい空気を大きく吸い込んだ。

​深く、深く、深呼吸をする。

​フードを被り直して前を向く。

行き先なんてない。ただひたすらに、目の前に続く草原を歩き続けるだけの旅路だ。

​だが――俺には、どうしても果たさなければならないことがある。

​「オフィーリア……」

​もう一度、翡翠の宝石を掴み、その名を口の中で転がした。

​あの日の出来事は、まるで昨日のことのように鮮明だ。

最近は夢の中でまで、あの日を繰り返している。

​そう――あの日の出来事こそ、俺の人生を根底から変えてしまった瞬間だったのだ。