「わかった。それは俺が悪かった。コルネリア殿、休んでいたところ悪かったね」
「いいえ。そんな。大した病気でもないのに彼を呼び戻したりして、私のほうこそ申し訳ありませんわ」
「いやいや。それはそれで面白いものを見せてもらったよ。こんなに余裕のないギュンターってのもちょっと珍しいからね。……僕はこれで退散するよ。体を大事にね」
「はい。……あの、クラウスさま」
ギュンターに引っ張られていくクラウスの背中に、コルネリアが語りかけた。
「ギュンターが最近王宮にあまり出向かないのは、私を気遣ってのことなんです。でも、クラウス様や王家への敬意をなくしているわけじゃありませんわ」
最期まで夫のフォローを忘れないところは、気遣い屋のコルネリアらしい。クラウスはにっこり笑って、ウィンクをした。
「分かってるよ。こっちこそ、しばらくギュンターを借りることになると思う。俺としても、こういったことを信頼して頼めるのはこいつしかいないもんでね。コルネリア殿には寂しい思いをさせるけど」
「大丈夫です。私は、彼に彼らしくしていて欲しいんです。一緒にいてくれるのは嬉しいけれど、やっぱりクラウス様の傍で働いているのが彼には合っていますもの」
「だってよ、いい奥さんを貰ったなぁ、ギュンター」
クラウスに冷やかされて、ギュンターは頬をかく。



