「俺も少し努力をしよう。エミーリアのようにいるだけで君を楽しませられるようにならないと」


コルネリアは、悪戯の色をのせたギュンターの瞳に笑いかける。


「あなたは今のままでも、私にはもったいないくらいの夫よ。それにあなたがエミーリア様みたいなことをするのも想像つかないわ」

「勿論、エミーリアと同じ手段を使うつもりはないよ。俺には俺の方法があるからね」


と言って立ち上がり、ベッドに腰かけてコルネリアを優しく抱きしめた。


「で、体調はどうだい? 貧血と聞いたけれど、食事はいつも通りとっていたんだろう?」

「あ……ええ、そうね。貧血なのは、その……」


コルネリアは歯切れが悪い。
ギュンターは不思議に思い、「言いづらいなら無理にとは言わないけど。隠されているのは辛いな」と傷ついた素振りをする。するとコルネリアは慌てたように彼を覗き込んだ。


「隠しごとなわけじゃないわ。……ただ、しばらくは内緒にしておこうと思っただけで。……でもやっぱり無理ね。あなたは私の変化にすぐ気づくんだもの」

「当たり前だ。何があった?」


心配そうに眉を寄せ、言葉を重ねるギュンターに、コルネリアは申し訳ないようにぎこちなく笑う。