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地方領の高貴な子息たちは、十五歳を過ぎると父親や兄弟に連れていかれ、王宮へ行くことが増える。
家が伯爵以上の家柄ならば大抵は親の仕事の手伝いながら、王家と交流を持つのだが、多くの貴族の子息は、ここで自分の進路を決める。より高度な勉強をするために王宮の研究所に入る人もいれば、剣術の腕を買われて騎士団に入隊するものもいる。平民と違い、貴族ならば士官からのスタートだ。そう悪いものではない。
「ディルクは、……十五歳になったらどうするんだ?」
「そうですね。僕としては研究室に入れたらと思っています。そのうち一度屋敷に戻って父とも相談しなければいけないんですが」
「ドーレ男爵なら月に何度かはくるだろ?」
「でもその時は仕事ですからね。ご当主につきっきりになりますし。ちゃんと話そうと思ったらやはり自分が屋敷に帰ったほうが早そうです」
ディルクはおそらくさらに勉強したいのだろう。あれだけの博識だ。きっとすぐに王族の目にも留まる。
彼の望むところに行けるのだからと思えば応援してやるべきなのだが、フリードは寂しさのほうが勝っていた。
「……分かった。お休み」
フリードはディルクの部屋から出て、自室へ入る。
もやもやした気分だけが残り、ベッドにダイビングしてもそれはちっともすっきりしない。
考えてもどうにもならない。年齢差だけはフリードにもどうにもならないのだ。
地方領の高貴な子息たちは、十五歳を過ぎると父親や兄弟に連れていかれ、王宮へ行くことが増える。
家が伯爵以上の家柄ならば大抵は親の仕事の手伝いながら、王家と交流を持つのだが、多くの貴族の子息は、ここで自分の進路を決める。より高度な勉強をするために王宮の研究所に入る人もいれば、剣術の腕を買われて騎士団に入隊するものもいる。平民と違い、貴族ならば士官からのスタートだ。そう悪いものではない。
「ディルクは、……十五歳になったらどうするんだ?」
「そうですね。僕としては研究室に入れたらと思っています。そのうち一度屋敷に戻って父とも相談しなければいけないんですが」
「ドーレ男爵なら月に何度かはくるだろ?」
「でもその時は仕事ですからね。ご当主につきっきりになりますし。ちゃんと話そうと思ったらやはり自分が屋敷に帰ったほうが早そうです」
ディルクはおそらくさらに勉強したいのだろう。あれだけの博識だ。きっとすぐに王族の目にも留まる。
彼の望むところに行けるのだからと思えば応援してやるべきなのだが、フリードは寂しさのほうが勝っていた。
「……分かった。お休み」
フリードはディルクの部屋から出て、自室へ入る。
もやもやした気分だけが残り、ベッドにダイビングしてもそれはちっともすっきりしない。
考えてもどうにもならない。年齢差だけはフリードにもどうにもならないのだ。



