「もう１度初めから説明する。今朝、城崎の遺体が発見されたんだ」


２度目の説明に、頭の中がクラクラしはじめた。


拓巳が死んだ。


自殺だった。


見つけたのは森の持ち主で、今朝木を伐採しに入ったところで見つけたそうだ。


拓巳の両親が遺体を確認し、本人だとわかった。


その事実が自分のうわべだけを滑っていて、全然中に入って来ない。


信じられない現実に鼓動ばかりが早くなる。


「先生……拓巳は死んだんですか？」


気が付けばあたしは手を上げてそう聞いていた。


立石先生が頷き「そうだ」と、返事をする。


途端に体の力が抜けて、あたしは上げていた手をダラリと下げた。


少しずつ事態を把握して行ったクラスメートたちから疑問の声が飛んでくる。


どこからかすすり泣きの声も聞こえて来た。


立石先生は１人１人の質問に丁寧に返事をしていく。


それでもあたしは茫然とその場に座っていることしかできなかったのだった。