出て来たのは菜々花の母親で、あたしと蓮は会釈をした。


「おはようございます。あの、菜々花は?」


「あら? 今日はもう学校へ行ったのよ? なにか用事があるとかで、1時間も前に家を出たの」


菜々花の母親はあたしたちの訪問に驚いた様子でそう言った。


「用事ってなんですか?」


蓮が聞く。


「さぁ……詳しく聞く前に学校の先生が迎えに来られちゃったのよ」


菜々花の母親はそう言い、眉を寄せた。


あたしと蓮は顔を見合わせる。


「あの子、なにかしたのかしら? なんだか最近様子がおかしかったし、なにか知らない?」


「わからないです。でもきっと大丈夫だと思います」


あたしは早口で返事をして、お礼を言い、歩き出した。


「学校へ向かったのかな?」


早足になって学校へ向かいながら考える。


「たぶんな。それか、そのまま施設に行ったのかもしれない」


もしそうだとすれば、菜々花は学校にはいないことになる。