「好きですって本に挟んであるお話だよね?」


大雑把にまとめすぎなことを言うと、黒瀬君が笑った。


「そうそう。本の貸し借りしてて、そしたら借りた本がスピンがついてるタイプの本で」

「栞代わりに使おうと思ってスピンが挟んであるページを開いたら、そこに紙も挟んであって、その紙に好きですって書いてあるんだよね」

「それで、これは近江(おうみ)さんが書いたのかな、自分宛てかなって悩むところから加速する展開がいいよね」

「そうそう!」


近江さん、というのは、主人公の男の子が恋している、本の貸し借りをする女の子のことだ。


大好きな図書館が出てくるお話だったので、もう早々にドラマをチェックした。

そうしたらすごく面白くて、原作を試し読みして、美しい描写に即購入した。


本や読書が絡むと、私は途端に弱くなる。


お財布の紐も、本だと緩みすぎてときたまはっとするけれど、いいのだ。


はっとするんだから大丈夫。幸せだから、別にいい。


本や図書館について書いていること。本であること。恋愛ものであること。もしまだ持ってなかったら黒瀬君にも貸せそうなこと。


これだけ条件が揃っているんだから、買ってしまうのは必然だろう。