「そういえばまだじゃない?」 「……まだ?」 私が聞き返すと椿の口から微かに息がもれて、 「目覚めのキスは?」 キス………!? 「っ、なに言ってんの!そんなの、するわけないでしょうが!」 私は勢いよく椿から離れると身体を戻した。 またやられた……。 すぐそういうことを言うって、今はレッスンに集中していて忘れてた。 「気長に待つことにするよ」 なんて、私とは裏腹に優雅に言ってのける椿だったのだ。