そこに居たのはオカマバーに勤める
龍馬の友達だった。


「全然違うから!」


「さすがに店の格好で歩かないしょ!」


「ですよねぇ」


「今日は1人?
もうすぐ開店するからどーぞ」


8時が開店らしい
そっか まだ7時半。


「いえ ここへ来るつもりじゃなくて
ブラブラと歩いてただけで」


「そーなん?でもさ
暇なら寄って行ってよ
ほらほら!」


強引にほぼ強制に店の中へ。


「どーせ暇だからいいか」なんて
あたしも笑う。


「ちょい化けてくるから待ってて」


化ける=化粧をするってことらしい。


カウンターに座っていると
次々と準備の出来たおカマさんが
店内へ。


「あれ?もうお客様?」
「あっあやの客らしいよ
そこで拾ったって言ってた」


「どーも」とあたしは頭だけ下げる。


「お待たせ!」
素早く変身して来たあやさんこと隆さん。


わけわかんなくなりそう。


「ビフォーアフターどっちがいい?」


「うーん」


「正直に答えていいよ」


「ビフォー・・・かな
男の格好の方が全然いい!」


「マジでぇ???ありがと」


隆さんは今月いっぱいで
ここを辞めるらしい
昼間の企業に就職が決まったそうだ。


「親が結婚しろ!って
うるさいしさ」


「もー!隆さんも結婚の話?」


「も?とは?」


「あたしの周りそんな人ばかりよ
嫌になっちゃうわ」


とか言って1組だけだけど。


「あっ!言い忘れてるけど
相手もこれから探すんです」


「なんだぁ〜」


「初めはスカウトされて
バイク資金の欲しさから始めたんだけど
親に反対されてて
そして早く嫁もらえ!って」


「まだ若いのにね」


「若いって 変わらないでしょ?
あっ!先輩って言ってたから
オレらより1つぐらい上?」


「若く見てくれてありがと
これでも28なのよ」