「いい話だねぇ!
羨ましいな
人生ってどこにどんな出会いが
あるかわかんないね」


「そーなのよ
押し倒して押しまくってよかったわ」


「うん?赤ちゃんって
その時にできちゃったとか?」


「そーね
あの日彼がすごく酔ってて
会社で何かあったのかな?
わかんないけど 会いたいって
言ってくれてさフフフ」


「はいはい
ご馳走さま」


彩乃はちっちゃくて
可愛らしいし 性格もいいし きっと
彼も初めから好きだったんだよね。


いろんな話をして
そろそろ帰ろうかという時だった。


「それからこれ招待状ね
手渡ししたかったから
持ってきた」
と あたしの名前が書いてある方を
上にして両指を可愛く添えて
「よろしくお願いします」
と封筒を差し出した。


「もちろん参加させていただきますよ」
と封筒をそのまま左側にずらして
トークの続き。


「彩乃のお父さんと彼が同じ会社って
それも何かの縁なんだろうね」


「そう!出会うべきして出会ったって
感じよ トシくんっていう名前なんだけどね
お父さんなんてもう息子のように
トシ!トシ!って呼んでる」


「ほんと羨ましいわ
羨ましい限りよ
同じトシって名前が付いてても
うち元彼と比べたら月とスッポン」


「陽菜の彼もトシって付いてたの?」


「うん 俊哉って言うの」


「あー!!!偶然!!!
あたしの彼もトシヤよ」


「へぇ〜面白い偶然だね」


といいつつも 何か嫌な予感がした。


「彩乃のお父さんってなんて会社なの?」


「松崎建設よ」


松崎・・・建設・・・


それは俊哉の会社でもある。


まさか?まさか?


あたしはすぐに招待状をひっくり返し
差出人の名前を見た。


嫌な予感は的中。


新郎小池俊哉
新婦田村彩乃


あたしの手から招待状は
滑り落ちた。