「ありがとう!」


朱里が病室を出たのを見送って、私は1階にある診察室に向かう。


エレベーターの前で待っていると、知らない男の子がキョロキョロしていた。


私は近くに寄って声をかける。


「あの、どうかしましたか?」


男の子は振り返って私を見る。


背は私より高くて、多分180cmくらいある。


綺麗な黒髪で朱里と同じ学校の制服を着ていた。


「えっと、診察室の場所分かんなくて。どこか分かる?」


「ここは入院している人達が使うフロアだから、診察室は1階だよ。あっ、私も行くから一緒に行きますか?」


そう言うと男の子は嬉しそうに笑った。