眠れぬ王子の恋する場所



「昨日は……お金とか依頼とか関係なく、ただ合意の上で行われたもの……ということでお願いします」

こんな風にじっと見られながら話すのは恥ずかしい話題に感じ、目を逸らしながらもごもごと言う。

久遠さんは昨日と同じように白いYシャツ姿だった。
カーテンは開けられ、レース越しの柔らかい明かりが部屋中を照らしている。

32階ともなると遮るものもないのか、部屋全体がまんべんなく淡い黄色に包まれていた。

久遠さんの前にあるテーブルには、昨日とは違うパズルのピースが散らばっている。

「三ノ宮に言うわけないだろ。だいたい、金が動けば法に触れる」

当たり前のように言われ、この人頭は悪くないんだっけ、と思う。

社長に聞く限りいい大学だって出てるみたいだし、勉強はできるんだろう。
生活が自立できないだけで。

「ただ……おまえには悪いことをしたし、その詫びに呼んだだけだ」

後ろ頭をガシガシかきながら、まるで不貞腐れたような態度で言われ「詫び、ですか?」と首を傾げる。

ああいうことは、一応女性が受け身になるし、リスクもあるからって事だろうか……と考えていると、インターホンが鳴った。

「誰か来ましたけど……」
「知ってる」

ドアの方を見ながら言うと、久遠さんはゆっくりとした動作で立ち上がり歩き出す。

「もしかしてお仕事関係ですか? え、私ここにいて大丈夫ですか?」

社長は、久遠さんはホテルの部屋で仕事をしてるって言っていた。
ってことは、インターホンを押す相手なんて仕事関係の可能性が高い。

この久遠さんを訪ねてくるお友達がいるなんて、失礼だけど考えにくい。

だとしたら私がここにいたらマズいんじゃ……と思いハラハラしていると、久遠さんは私の前を通りこしドアを開けた。