驚いて下を見た。



村本は、機械科が使うトラックの上に落ちていた。


段ボールが沢山積まれた上だった。

多分要らない物の整理の為に段ボールを何処かに持って行くつもりだったのだろう。



村本は声を出さずに来いよと手招きした。



僕は、一瞬だけたじろいだが、思い切って飛んだ。


もしも、上手くトラックに乗れなかったらそれも運命だなと空中で思った。



背中に衝撃が走ったが、上手くトラックの上の段ボールに落ちた。


村本は、僕の顔を見て笑った。


何がおかしいんだと聞くと生暖かい物が制服を汚した。


鼻血が出たようだった。


何処かで打ってしまったのだろう。


段ボールの上に立つとそれ以外は何も問題が無かった。



村本は、笑いながら何故か泣いた。


最初は笑いの方が大きかったが段々と涙が止まらなくなってるようだった。


僕はそういう村本を見て貰い泣きをした。


二人でわんわんと子供のように泣いた。



何故涙が出たのか今でも分からない。



村本と僕は卒業式の時は全く涙も出ずにへらへらしていた。



屋上は、開けられたままだが誰も気づいていない。


忘れされた屋上がその後どうなったかは知らない。


もしかしたら今でもあのまま開いてるのかも知れない。



僕達の卒業式はトラックの上で終わったのだと思う。



その後村本は、関東の方に出て働いていたが何時しか連絡が取れなくなった。


同級生に聞いても知ってる人間は居なかった。


しかし、途中で探すことを辞めた。



僕が会いたいのは屋上から飛んだ頃の村本で今の村本ではない事に気付いたからだ。


卒業アルバムでガンを飛ばしながら写ってる村本には会いたかったが、それは無理な話しだった。