「足で蹴ったら簡単に鍵が取れたよ。」


村本が笑う。


皆ここに関心がなかったのだろう。


あったとしても一瞬見ると厳重そうなので関心が薄れたのだろうと思えた。


忘れされた屋上…



僕達は取っ手を掴むとギシギシ鳴ったが簡単に開いた。



村本と僕は屋上に上がった。



三月の晴れた日とはいえ屋上は寒かった。


まだ六時前だが、冬の為か日が落ちかけていた。


屋上は、広いがあちこちに苔のような物が生えていて殺伐としていた。


僕は、村本にコーヒーを渡すと二人でゆっくり飲みながら煙草を吸った。


「やってみると何だか空しいな。」



村本が少し寂しそうに呟いた。



まあ、何でもそんな物じゃないのかと僕は答える。


村本は、屋上の端に行くと笑いながらここから落ちて死ぬのか?と言う。


僕も端に行くと意外に低いのに驚いた。




だが、この学校は三階建てだが、下に大きな駐輪場があって四階建てのような物だった。




「低く見えるのは屋上って高いってイメージからだろうなあ。


落ちたら多分死ぬよ。」




僕は、そう言うと端から少し離れた。


村本は、しばらくコーヒーを飲みながら煙草を吹かすとそれを屋上に置いて僕に向かって叫んだ。


「死なねえよ!!俺は、運が良いからな!!」


そう叫ぶと屋上から村本は飛んだ。


村本の履いていたアディダスのスニーカーの裏側見えた。