しかし、大人になるとそういう痛々しい感じを段々と感じなくなるのだろうと思えた。


CDの音楽が停まるようにそれはある時点で完全に無くなるのかも知れないと思うと少し怖かった。


「尚樹俺は、学校の屋上に上がりたいん
だよ。

あそこは何十年も上がれないようになってるだろう。

卒業前に鍵を壊して上がってみたいんだよ。

何十年も上がれなかった屋上に俺達だけで上がってみるそれだけでも何か価値があると言うか何かを残したような気がしないか?

すげえ馬鹿馬鹿しい事だけど馬鹿馬鹿しいからいいんじゃないか?」



思わず笑いながらそりゃいいかもなと賛同した。


馬鹿馬鹿しい事だけど馬鹿馬鹿しいからこそやってみるべきだと思った。



村本は、僕が賛同した事が嬉しかったのか準備は俺がするよ。


明日の夕方に決行だと言うと部屋を出て行った。


その日は興奮からか寝付けなかった。


僕達の高校は昔は屋上に上がれたようだったが屋上での喧嘩や自殺者等が出て完全に封鎖された。



今の校舎が出来て直ぐの事だったと聞いていた。


三十年とかそれ以上屋上は誰も上がれない状態だったのだ。


僕達が入学した時はそれは当たり前の事で誰も屋上に上がりたい等とは思っていなかった。


冬は寒いと言う位当たり前の事になってしまっていた。


村本は、その当たり前を壊そうとしてると思ったら愉快な気分になれた。