「………………。」

『博士?』

「…ここは?」

「あら、お目覚めですか?博士、ご気分は?」

換えの点滴を持ってきた、研究所専用の女医が尋ねた。

「…ええ、大丈夫よ。」

初めてシャープと会話を交わした日の、自分とシャープのような会話に、博士は少しおかしくなった。

「シャープ、博士は大丈夫だから、貴方は研究室に戻りなさい。」

点滴を換えながら女医は言う。

しかし、なかなか腰を上げようとはしないシャープに、博士も口を添えた。

「私は大丈夫だから、貴方は戻りなさい。」

『…分かった。』

幼い子どものように不服そうに立ち上がると、シャープは扉の前で一度振り返り、しかし何も言わずに出て行ってしまった。


「…フフ、博士ったら、お母さんの顔になってますよ。」

クスリと笑って、女医は去っていった。

ハタ、と自分の頬を触る。

「やだ…どうかしてるわ…。」