「…シャープ、貴方の行動は間違っていない。」

真っ直ぐにシャープを見つめ、博士は続ける。

「貴方を作ったのは…貴方に、私を殺してもらうためだったもの。」

「そんな…!博士…!」

「シャーロット、下がって。」

そう言われたシャーロットは、戸惑いながら一礼して、慌ててデータ管理室を出て行った。

その姿を見送った後、博士はもう一度シャープに向き直り、床に膝をつけた。

座っているシャープと同じ目の高さになる。

「…今まで殺害用プログラムが起動しなかったことが不思議なくらいよ。
貴方が自分で制御してたの…?」

博士の問いに、シャープは目を伏せながらコクリと頷いた。

『だって…コイツが、殺すなってうるさくて…。』

そう言って、シャープはトントン、と自分の頭を人差し指で叩いた。

途端に、シェリル博士の瞳は大きく開き、大粒の涙がポロポロと溢れ落ちた。

「ダル…、嗚呼、ダルなの…?」

シャープの両頬をそっと包む。

瞳に映るのは、紛れもなくシャープだけれど。

その脳は、ダルなのね…?