「行かないし」
「無理、来い。ずっと待ってるからな」
それだけいうと、タイミング悪くやってきた保健の先生と入れ違いに出ていってしまった。
最悪だ……。
『ありがとう』の一言が素直に言えてればこんなふうにはなってなかったのに。
「……行かないって言ったのに」
「ん?榊原さんなんか言った?」
あ、そういえばここは保健室で今先生に怪我の状態を話してたところだった。
保健の先生に怪我のことについて話してから教室に戻る間もずっと斗樹の言葉が頭から離れてくれなかった。
行かない……行ったっていいことなんてない。
行かないよ…斗樹。
だって、私はちゃんと行かないって言ったんだもん。
『ずっと、待ってるから』
そういった斗樹の表情は本気に見えたけど…やっぱり私は行かないからね。