「ふぅん。まあ、俺はしたかったけど。
それはお前が彼女になってくれたときのために取っといてやる」
それだけいうと、斗樹は私の頭をポンッと一度だけ優しく叩いてから自分の家へと帰って行った。
「な、なにが…彼女になってくれた時よ…」
そんなときは一生…こないって言っているのに。
『誕生日おめでとう、ミナ
生まれてきてくれてThenk you』
クマ子の首からぶら下がっているメッセージカードに
バランスのとれていない字でそう書いてあったのをみて思わず頬がゆるんだ。
Thank youのスペル間違ってるし…
“e”じゃなくて“a”だし…。
本当にバカすぎて呆れちゃうけど、不器用なところとかはいくつになっても変わらないね。
斗樹には惑わされない、そう思っていたのに
斗樹のせいで心がかき乱されている気がするのは気のせいということにしておこう。