私は炭谷くんのことが好きなのにこんなにも斗樹のことで悩んでいるのが自分でも意味不明。
頬に触れられていたバッと振り払って花火の音を聴きながらただひたすらに走った。
何も考えたくない。
これ以上、私の頭の中を斗樹で染めたくないの。
斗樹なんて、好きじゃない。
顔がいいだけのプレイボーイでただの幼なじみだもん。
「おいっ…!」
走っていたのに運動神経抜群の斗樹にかなうはずなんてなくてすぐに追いつかれて誰もいない橋の上で腕を掴まれた。
「なに?私はもう斗樹と話したくない」
そう言うと、私の腕を掴んでいる斗樹の手にグッと一瞬だけ力が入ったのが分かった。
きっと、今、彼は顔を歪ませてひどく切ない表情をしているんだと思う。



