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「ミナ、口開けて」
「な、なんでよ…!」
「なんでってベビーカステラ欲しくないの?」
さっきの場所から移動して今は色んな屋台の前を歩いている。
ベビーカステラも買ったし、気分は上々…のはずだったのに代金は割り勘ね、って話だったのに
斗樹が勝手に一人で払ってしまったから罪悪感のあまりベビーカステラを食べることが出来ないでいる。
横から漂ってくる甘くて美味しそうな匂いが私のお腹をグゥーと小さく静かに鳴らす。
たぶん人混みのおかげで斗樹には聞こえていないと思う。
「ほ、ほしいけど…はむっ…!」
話している間に口の中にベビーカステラを一つ彼の手によって放り込まれた。
口の中で広がる甘くてやみつきになる味。
「どう?上手いだろ?
金のことなんて気にせずに食べろよ。
つーか、さっきから今にもヨダレ垂らしそうなぐらいで見つめられる方がよっぽど迷惑だし」
ムカつくことを言われているのはよーく分かっているけど、ベビーカステラをくれたからいつものように逆らうことはやめて、黙って食べる口を動かした。



