「先生、今日の放課後なんですけど、少し教室に来てもらってもいいですか?」
お昼休みの、英語科準備室。
私は影山くんと一緒に、担任の増田先生に話をしに来ていた。
「ん? いいけど、どうして?」
「それは……来てからのお楽しみです!」
「えー? 何それー。 影山くん教えてよ」
「ダメです」
にっこり笑顔でピシャリと断る影山くんに、先生は「ちぇー」っと頰を膨らます。
だけどすぐに笑って、「分かった」と返事してくれた。
良かった。みんなの都合を合わせたから、ダメだったらどうしようかと思った。
影山くんと顔を見合わせホッとした後、私達は「それじゃあ」と、英語科準備室を出ようとした。
だけど、
「あ、高宮さん」
増田先生に呼び止められ振り返る。
「そろそろ席替えしようと思ってるんだけど、いい?」
「え……?」
「篁くんと付き合ってるんでしょ?」
「っ……!?」
思いがけない指摘にびっくりして、顔を真っ赤にさせる。