───一日がとても長く、そして短い。


 前に進みたいのに進めない。

 進めないのにただ、時だけが過ぎていく。


 そんなもどかしい毎日。


 何の為に此処にいるのか。
 誰を待っているのか。

 自ら答えを探さないとこの夢からは永遠に目覚めることが出来ないから。

 今日も一人でこの森を彷徨うのだろう。

 ずっと一人で……。


「……パパ…っどうしてスズをおいていったの? どうして…」

 心が悲しみで溢れそうになり、思わず口から出た言葉は何とも悲痛な声となって自身の耳に届いた。

 酷い頭痛と共に意識が浮上する。
 浅い呼吸を繰り返す肺。息を吐く度に喉を通る空気がとても熱く感じた。


「スズ……目が覚めたのかい?」

 優しい声の方に顔を向けると少し眉を下げて困った様な顔をしたユージーンが目に入る。

「……マスター…?」

「うーん、まだまだ熱が高そうだね。もう少し寝ていなさい…」

「っ…嫌、こわい夢を見るの…! 眠りたくない!」

 スズランは思わず小さな子供の頃の様に駄々をこねた。そんな我儘を嫌な顔一つせずに優しく聞き返してくれるユージーン。

「こわい夢?」