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園子たちが着替えをしているころ、レイは旧校舎にいた。
この校舎は使われていないが、よくある話性格が良くない人たちが貯まりやすい場所である。
だが、レイは空間転移をし溜まり場である1階、2階ではなく4階に転移した。
「......はぁ」
そこについてレイは床に座った。
そして、眼帯を取った。
レイの眼帯の下からは紫色の瞳が現れた。
その、紫色は禍々しい何かを感じる。
「......出てこい」
レイが独り言のように言った。
実際にレイしか居ないのだからそうなるのも仕方がない。
だが、1人では無かった。
『どうしたん?
そんなに怒った声出してヒャヒャ』
どこからか訛がある口調の声がし、いつの間にかレイの前に誰かがいた。
漆黒の髪に紫色の瞳で、レイと同じく眼帯をしている男だった。
「園子に何をしようとした?」
レイは無表情であるが声がとても低い。
園子が聞いたら驚くだろうし不安になる声であろう。
『何って...なんも?
ただ、見とっただだけだよ?だってレイに懐いとる子なんて見たことないしね〜』
男はニヤッと笑った。
だが、その笑は良い笑とは言えなかった。
この男は姿や気配を隠し、園子に触れようとしたことに気がついたレイはこうして誰もいない所でこの男を呼んだのだ。
レイは両目で男を睨む。
だが、ため息をついて落胆した。
『久しぶりに話して疲れたん?
僕が来てから何も喋らんくなったもんな』
クスクスと笑いだした男をまた睨むがすぐに視線を外した。
レイは目を瞑りまたため息を吐く。
これは何かに集中するためのレイの癖であり、何かをしようとしていることが男には分かった。
『何調べとるん?
この建物には僕らしかおらんよ。』
男は はて? とこの校舎の周辺の魔力を調べてみるが確かに男とレイ以外は居ない。
「......まだ大丈夫だな。
ミルビス...お前は園子に危害を加える気か?」
レイが目を開け、双方色の違う瞳でミルビスと呼ばれた男を見た。
そこで、男は少し驚いた顔をしたがクスッと笑った。
『何を今更ゆっとる。
なんも危害なんか加えるわけないよ。
僕は君と契約した身じゃで?
それに僕だってずっと1人でいるレイは見とうないんでね。』
嘘っぽい笑みで答えるミルビスにレイは少し驚いた。
そんな顔を見たミルビスは本気で笑った。
『ヒャヒャ、なんじゃその顔...ぶふっ
僕がこんなこと言わんと思ったか?』
ミルビスの言葉が図星だったらしくレイはそっぽ向いた。
「闇属性の癖に...悪魔が」
レイの呟きにミルビスは笑みを消した。
そして、ため息をついた。
『あんな、君らが思っとるほど残酷じゃないで?僕。
君らがそう思っとるだけ。確かに僕は闇属性のもんだし。
だけど、他の奴らと違って感情は穏やかだ。』
「...まぁ、確かにな。
お前、俺が結婚とかしても悪さなしに本気で喜びそうだし」
ミルビスの言葉にクスッと笑うレイにミルビスは当然だろと言いたげな表情をする。
それを見たレイは冗談のつもりだったが逆に引いてしまった。
「まじか...」
『なんなん?その顔!』
ミルビスが突っ込むが少し悲しげな顔に変わった。
『君に僕を植え付けられたことに関しては申し訳なく思とるよ。
ミルビス一族は正直狂っとるもん。
だけど、君みたいな子が僕を操るだけの精神はある。
だから、正直君で良かったとも思っとる』
ミルビスは自分の眼帯を指さした。
それを聞いたレイは苦い表情をしていた。
もう、思い出したくない過去に触れたからだ。
だが、ミルビスが本当の意味で闇に落ちていないのは分かっている。
闇属性の魔力は相当なものでミスると簡単に闇に落ちてしまうのだがレイはそれを何とかコントロールしている。
『まぁ、レイの邪魔をする奴は容赦なく殺すつもりでおるけどなぁヒャヒャ』
ミルビスは不気味な笑みを浮かべた。
これこそが、闇属性であり悪魔と呼ばれている男の本性だ。
それは、レイでもゾクッとするもので敵であれば間違いなく隙を作ってしまうだろう。
それぐらい、不気味であった。
『それはそうと、行かんでええん?
授業が始まるで。優等生さん?』
ミルビスが校舎にある時計を見た。
あと2分で授業が始まってしまう。
「ああ。転移するから大丈夫だ。
それよりも、園子が何かにあったら俺はこの力を制御する自信が無い。
暴れるかもしれない...」
そこまで言ってミルビスはレイの口を手で抑えた。
『分かっとる...だけど僕は何も出来んだろうね。
あの子次第や。信じるしかないでしょ、ここばかりは』
レイの疲れた表情はこの不安だったのだろう。
ミルビスは目を細めレイの前から消えてしまった。
『ほら、はよ行かんとチャイムなるで?』
「分かってる」
レイは転移を使い誰もいない更衣室で戦闘服に着替えた。


