12人の魔女伝説 ~俺はお前の騎士だ~


園子の表情はさっきよりも明るくなった。
それは、周囲からでも良くわかるほどであった。

「どうしたんだろう。すごく嬉しそう」
「あいつの隣になったからか?」
「いやいやいや、そもそも知らないだろあいつのことは」

クラスの人達は隣の人とヒソヒソと話し始めた。

(同じクラスなのは分かるが……よりによって隣か…)

レイはため息をついた。

園子の魔法の技術であればA組になってもおかしくないとレイ自身思っていたため驚くことではなかった。

しかし、園子の席が自分の隣だとは思わなかった。

レイはいつも一番後ろの窓きわの席だった。
この学校では途中クラスが変わることもあるため席が余分におかれている。

実際にA組には3つの席が空いていた。
一番後ろの列はレイしかおらず、その隣の席と、一番前の廊下側の席。

あとは、真ん中あたりに1つ空席になっている。

「よろしくね!レイくん!」

隣にやってきた園子が誰にも聞こえない声で言った。

「……」

しかし、レイは答えることなく窓の方を見た。

不機嫌な顔をしていたが口角は少し上がっていた。

それが分かったのは園子だけであった。

〜・〜・〜・〜

「じゃあ、ホームルームを終わります。
次の授業に遅れないようにお願いね。」

カレンは出席確認や連絡をして、教室を後にした。

と、思ったのだが教室から顔がひょこっと出てきた。

((びっくりしたー!))

生徒たちは ビクッ と肩が上がった。
そりゃびっくする。

「言い忘れてたけど、園子さんに色々教えてあげてね〜レイ!」

「えっ」

カレンのいきなりの言葉にレイは声が漏れた。
心底嫌な顔をしている。

「……」

生徒たちも静まり返ってしまっていた。
この重たいような空気に園子は苦笑いしか出来なかった。

「…まじか…」

レイは はぁ とまたため息をついた。
だが、園子にとってはいいチャンスだった。

これならば、話しかけても何も言われないだろうと。

「だって!だから 学校で話しかけてくるな はなしでいいでしょ?」

園子はニコニコと笑いながら問う。
その笑みに企みがあるようでレイは警戒した。

「あっあぁ。まあ仕方ないか」

レイはまたため息をついた。
やった! と園子は喜びさっそく話しかけてくる。

だがレイは嫌々な顔ではなく若干だが、微笑む姿もあった。

そんなレイを見たことがないクラスメイトはまたヒソヒソと話し始めた。

「おい、あの無表情で冷静沈着なあいつが笑ったぞ」

「私たちでさえ笑ったことないのに…私は話したくないけど」

そんな呟きなんて2人は聞こえるはずもなく、園子のマシンガントークにレイは言葉は少ないが頷いたり答えたりしていた。

園子のマシンガントークは止まることがない。
いつも伊織やレイに話を止められるのがいつもなのだが、今回は止めることなく聞いていた。

その時、周囲の生徒たちはレイに近づきたくないため園子に話しかけることなく教室を出ていく。

「あれ、みんないなくなった」

それに気がついた園子は周りを見る。
まだ数人教室にいるがほとんどの生徒がいなかった。

「1時間目は移動教室だからな…
お前は教科書はあるのか?」

レイは授業に使う教科書を見せる。
園子は えっと とカバンの中を探る。

「あっ!あったよ。これでしょ?」

園子は教科書をレイに見せるとレイは頷いて教室を出る。

「まって!」

園子が追いかけようとするとレイが急に止まった。

園子は本能的にギリギリのところで止まる。
危うくぶつかるところだった。

「教室までは距離を置いて歩け」

レイの冷たい声音で園子は一瞬ビクッとなった。