BAD & BAD【Ⅱ】





疲れのせいか、つまづいて膝をついてしまった凛を、善兄が背後からナイフで突き刺そうとしていた。


凛はナイフに気づいて逃れようとするが、足がもつれて動けない。




……ダメ。やめて。



凛を、殺させはしない。

もう誰も、傷つけさせない。


こんな無益な闘いを、続けないで。




自由になった今、私は駆け出した。


ふらつく足で、ステージを飛び降りる。



間に合え……!




全速力で走って、善兄と凛の間に割って入っていった。



「い……っ」


「幸珀、どうして……!?」





――ポタリ。


床に1滴の血がこぼれ落ちる。




動揺を隠せない善兄の視線の先にあるのは、凛に刺さるはずだった刃を、盾になって包んで止めた、私の血だらけの両手。


目を丸くしているのは善兄だけではなく、朔も師匠も、もちろん凛もだった。



主に左手の方が傷がひどく、血は止まらずに流れ続けている。