「えっ、それじゃあ、
まるで……」




 “俺があの女に恋してるみたいじゃないか”




 俺は喉元にでかかったその言葉を、瞬時に呑み込んだ。





 めぐがいったことは、あの日俺が自殺の勧誘をされていた時に抱いた感情そのものだった。





 今でも忘れられないのは、息が詰まるほどうるさかった心臓の高鳴り声。




 俺はまさか、恋をしたとでもいうのか?




 母親からの愛も知らない、この俺が?



 心臓の鼓動が、鳴り止まなかった。



 身体が急激に熱を帯びて、頬が紅色に染まっていく。



「……どうやら、自覚したみたいね」



 そんなわっかりやすい態度をした俺を前にして、めぐは口角を上げて、さぞかし満足げに笑った。