好きだったよ、母さん。 実の親を嫌いになんて、中々なれない。 …………大好きだったよ。 父さんに母さんがよく向けるあの笑顔を、もう一度だけでいいから、俺にも向けてくんないかなぁ……って、そう本気で思ってたよ。 そんな願いは、一生叶わない。 悔しくも今日、それが確定したのだけは、喉元から声が出かかって、その声が枯れ果てるまで叫びたくなるほど、よく分かった。