「潤、怒んないから吐けよ」


 めぐの後ろにいた奈々が、俺の近くへ来るや否やガッと効果音がする勢いで学生服の襟を掴みあげて、尋問をするように言った。

 笑い声一つ立てないで、目を細くして、奈々絵は笑っていた。

「いやいや、何言っちゃってんの奈々。
俺は別に嘘なんてついてねぇよ?」



 俺は奈々の顔を見ずに言った。



 ……ヤバい。



 この状況はマズすぎる。




 
 怖すぎて奈々の顔が見れない。






 奈々は滅多に怒らないから、こういうのをされると、普通のやつの数十倍は怖いんだよ!!






「……おい潤、誰もお前が嘘をついたなんて言ってねぇんだよ」



 奈々の俺の落ち度を叱るような言葉が、やけに頭の中に響いた。



「あ」




 ——しまった。





 そう思ったが時、既に遅し。





「ちょっ、タンマ!キブギブギブ!
ゴホッ、ゴホっ、痛い痛い!!」




 俺は奈々にそのまま学生服の襟を思いっきり引っ張り上げられ、首を締められかけた。