「大丈夫だから、ちゃんと聞いてやれ。
な?」

 背後にいたあづに、俺はそっと語りかけるように言った。



 時刻はまだ5時で、普通なら仕事しなきゃいけない時間だ。それでもこの2人は、大方上司に頭でも下げて、わざわざここに来てくれたんだろう。


 どんなに子供にひどいあつかいをしたことがあったとしても、医者は医者だ。


 沢山やることがあるんだろう。


それなのに、こいつらはここへ来たんだ。



「あづ」




 俺が呼ぶと、ここに来てくれたことにあづも何か思うことはあるのか、俺の背中越しからちょっとだけ顔を出して、怯えた目で両親の様子を伺った。





「空我、ごめんなさい!!」



「空我、すまなかった……」