「はぁ?俺等、何年一緒にいたと思ってんの。恋愛だろうとなかろうと、お前より好きになる奴が今更現れるわけ……」




「わーもう黙っとけ!!!気持ち悪ぃ!でもまぁ、……ありがとな」


 物凄い小さい、蚊がなくような声で、お礼を言われた気がした。


「え、空我今なんて言ったっ!?」



「二度は言わねえよ、バーカ!!」


 


 空我がそう叫んだ直後、そこに、もう4人ほど影が増えた。




「「空我」」




 めぐ、龍弥。






 それに、あづの両親だ。






「……こっち来んな」




「お、おい」






 あづは慌てて、怯えるように俺の背中に隠れた。




 さっきは散々暴力振ってきたくせに、
この変わりようは一体何だ。






 やっぱ我を忘れてたからやっただけか。




 そう分かったことが、ほんの少しだけ嬉しかった。